国が国民の福祉を、国家の責任において請け負った憲法第25条、こと社会福祉、社会保障、公衆衛生この三点については、国が直接国民に対して責任を負うと言う規定があります。国が福祉を、第一の責任として負うという規定を設けたのは、人類文化史上初めであり、最も優れたるものであります。もう一つ第9条、これも最近何となく危ないですが、9条も精神史的な非常に価値のあるものでありまして、国家は最高絶対であるが故に、国と国との関係で争いが起こった時に、これが戦争になりますと個人が破滅致します。何とかしなければならないと言う処から、人々は、19世紀から世界政府を作ろうと言うことも考えました。
しかし人間は、世界政府を樹立し、管理する為の体験も無い。単なるイメージがあっただけでは、とても管理出来るものではない。どうしようかと言うことになって・国連と、こういきたいのですが、そこで考え.られることは、ここにA国家、B国家、C国家、D国家、E国家があるとすると、この国家の上に、最高絶対の権力団体、即ち各国家が一つになって一つの国家を作る。そして一つの国家が出来ても、各々の国家の独立性は失わない。だからUnited States of Americaと言えば分かりやすいと思います。これはアメリカ合衆国だけではありません。オーストラリア、カナダもそうですし、一番古いのではスイスに御座いまして、またアフリカ共和国もオランダの植民地時代に、連合国家態勢を組んだ時期がございます。こういうのを連合した状態UnitedStatesと言って、アメリカが一番しっかりしております。各国家は独立しており、全体たる国家のことを、連邦政府・FederalGovemmentと申します。連邦政府の特徴は、Aなる国家、Bなる国家・Cなる国家、地域の大小に拘わらず国家と国家との関係は対等でありまして、全体たる国家と、これらの国家群との間の関係も、また対等であります。こういうのを主権分立division of powersと言います。国家の権力を、国家の中でうまく管理する為には、立法・行政・司法これを三権と言い、三権分立separation of powers.と呼びます。アメリカ合衆国、これを国際ロータリーという名前で置き換えて、A州B州C州の事をAクラブ、Bクラブ、Cクラブと考えますと、国際ロータリーと各クラブとの関係は、主権分立、division of powerの関係にありまして、両者の関係は対等であります。
ですからガバナーは、各クラブに対して、原則論として命令する権限を持たない。対等で付き合わなければいけないのです。ですから国際ロータリー会長も命令型で、今年度も"Lend a Hand"という。Lendと言う動詞が先に付くと、二人称に対する命令形でとこう英文法では習う訳です。「お前、手を貸してやれ」。そうじゃないんです。国際ロータリーとクラブとの関係は、連合性の理論と同じだとすれば、これはLet us Lend a Handなんです。私も手を貸すから貴方方も手を貸しましょうよ。『お互いに手を繋いで、

地球上の人類に幸せがやってくるように、努力をしましょうよ』。こういう複数主導の相互間の命令で、対等な命令の交換ですからこれは「勧告」で、こういう風に考えればよいと思います。最近の国際ロータリーは、会長が頂点に来て、事務総長が、chief administrator(最高の執行行政官〉などとなりますと、何となく縦型の考え方を各クラブとの関係で作ろうとする野望をひしひしと感じます。これはロータリー運動の破壊です。ことロータリーに関する限りは、国際ロータリーと構成クラブとの法的な関係は、対等です。但し全体たる国家というのは、これらの人達の総ての人達の幸せの為に出来ております。 この連邦政府を作るためには、金がかかります。この金、これをロータリーでは人頭分担金と申します。ですから人頭分担金の不払いということは、基本的な管理を破壊することになりますから、例えば家賃を払わないで家を借りて住んでたら、中に入っている人は出 て行かなければならない。家を借りたら家賃だけは払わなければいけない訳で、同様に人頭分担金は払わなければならないのです。とにかく国家と国家は対等で、この中に立法・行政・司法がある。Aの国の中で法律問題が起こったら、Aの中の裁判所で処理をする。B・C・D・E国皆同じで、各国各の地域限界の中で処理をする。ロータリー・クラブも全く同じで、クラブ内部のことは、各クラブが独立してやるんで、隣のクラブの慣例に習うとか、そんなことは自分達が主体的に決めればよいのです。
さーそこで、問題が起こる。Aなる国に(イ〉さんと言う人がおりまして、Bなる国に(ロ〉さんと言う人がおりました。(イ)さんがBの国に旅行に行きまして(ロ)さんを礫くんです。交通事故が起こった。そうすると(ロ〉さんに損害が発生します。その損害の責任の認定及び損害額の算定は、どこの国の法律によって算出するのかの問題が起こってくる。Aなる国の法律を取るべきか、Bなる国の法律を取るべきかの紛争が発生致します。これを調和させる法律のことを「国際司法」と申します。それから連邦全体の存立に拘わる事が起こると、連邦政府の方に、立法・行政・司法がありまして、こちらの方が国際法上、代表権を持っておりますから、この法律で処理を致します。ですから日本国はアメリカに物申すときは、アメリカの連邦政府の代表者である大統領に申し立をする。Aなる国とBなる国との司法の間には、直接関係が無いのです。そうすると連邦の最高裁判所、連邦の司法権で、この中のことでけりをつける。国と連邦政府、相互の関係する時は、国際司法的な原則に従って、選択せられた法を適用して、けりをつけるわけです。国際社会の中では、国と国との間で、屡々喧嘩に明け暮れるわけですが、その場合に世界レベルでその統一unityを維持出来るようにする為の法的な論理構成は、とても難しい問題が横たわっておりまして、 4頁目>