2005年12月 6日
第2052回例会
南 極 教 室
会報担当  藤谷会員

   例会場  ℡ 0436-23-1211 〒290-0026 千葉県市原市五井5584-1五井GH
   事務局  ℡ 0436-40-8900 〒290-0062 千葉県市原市八幡1073
        Mail Address:info@ichihara-rc.com
      会長  加藤 利夫     副会長  津留 起夫
      幹事  千葉 精春      副幹事  西村 美和子


  南 極 教 室 
   
市原市立京葉小学校  ・・・・・・・・・・移動例会・・・・・・・・・・

千葉幹事進行
京葉小5年生6年製の皆さんこんにちは。(生徒から『こんにちはー』)・・・
南極教室開催します。
この会は、市原ロータリークラブというところが企画しまして、京葉小学校さんが快く引き受けていただき、
そして国立極地研究所が全面的に協力してくださいまして開催することができました。
最初に国際ロータリー2790地区市原ロータリークラブ会長加藤利夫から挨拶いたします。
次に京葉小学校の杉本校長先生にご挨拶をしていただきます。

加藤 市原RC会長

皆さんこんにちは。(生徒から『こんにちはー』)

私は小学校に来るのは久しぶりで、大変懐かしく思います。
市原ロータリークラブが所属する2790地区というには千葉県エリアを言います。この市原市にはロータリークラブが二つあります。その中の市原ロータリークラブの会長を務めさせております加藤と申します。
今日は当クラブの千葉幹事そして始関本校のPTA会長OBのお骨折りによりまして開催されます。
南極に関しての勉強を事前にしていると思いますが、教授のお話、南極との直接交信をとおして益々の理解を深めていただきたいと思います。
杉本 京葉小学校校長
こんにちは。
今、この会の経過についてはロータリークラブの会長さん幹事さんからお話がありました。元PTA会長の始関さんからお話がありまして、そして千葉さんが極地研究所の方とお知り合いという関係で実現したわけです。
5年生は1年制の時から養老川を中心とした環境学習をしてきました。今年になって豊かな森作りと題して森と人と自然のいろいろな係わりを勉強してきました。
6年生は昨年から千葉県立博物館と‘旅する地球の水’として水に係わる学習をしてきました。
学習してきたことを今度はもっと広く地球規模で学ぶ機会としてもらいたいと思っています。

講 演

国立極地研究所
地圏研究グループ
本吉 洋一 教授

≪スライドや地図・南極の氷・岩石を使って解りやすく説明する≫
はじめまして。よろしくお願いします。
今日は皆さんに南極の話しをします。さっき紹介がありましたが南極はとっても寒いところです。
今日はその寒いところに、どんな生物がいるのか、どんな自然現象が見られるのか、それから観測隊がどんな仕事をいているのか、「白い大陸と観測隊」としてお話しします。
皆さんは南極と聞いて何をパッと連想しますか。(生徒とやり取り=氷・ペンギン・オーロラ・ブリザード等等)
ペンギン飛んでるとこ見たことありますか。空気中は飛べないけど水の中は、まさに飛んでいますよね。水族館とかでよく見て観察してください。

(スライドと地図)
これアデリーペンギン。昭和基地とかに沢山います。身長70cmくらい。これは皇帝ペンギン。大きいペンギンです。身長1m20cmくらい。これはアザラシ。これも沢山います。夏の間はちょうど赤ちゃんを産む時期です。ですから私たちが南極に行くとベビーラッシュの時期と重なります。
これはオーロラ。オーロラもいろいろな色があります。緑っぽいもの、赤いもの、紫っぽいもの、ピンク色っぽいもの。
これは南極大陸の地図。真っ白です。ほとんど氷です。広さは日本の約37倍。大きな大陸です。97%が氷です。わずかに2~3%岩場が出ている程度です。地球上で最も寒い大陸です。いままで南極で観測された最低気温はマイナス89.2℃。つまり地球上で観測された最低気温ということになります。どこで観測されたかというと極ではなくて少し離れた地点です。
日本の昭和基地は地図ではここにあります。海岸沿いにあるんですよ。昭和基地ではそんなに寒くなりません。いままでに観測された気温の最低はマイナス45℃です。南極のなかでは比較的暖かいです。
この図は南極大陸を縦にスパッと割ったとき、どうなっているかというものです。南極は厚い氷の下に岩(土)があります。氷の厚さは一番厚い所で4000メートルあります。富士山がすっぽり入っちゃうくらいです。それほどの厚さの氷が日本の37倍の広さに在るんだから大変な量です。

地球温暖化という言葉聞いたことありますか。地球の温度が高くなると南極の氷が溶け出します。もし、南極の氷が全部溶けちゃうと地球の海の高さが70メートル上がる。東京もニューヨークもパリも全部沈んでしまいます。ですから南極の氷が増えているか減っているかは非常に大きな問題です。地球の温度が7℃上昇すると南極の氷が全部溶けると言われています。7℃上がって70メートルだから1℃あがると10メートル。たった1℃上がっただけで海が10メートル高くなるんです。南極の氷、非常に重要です。今、南極の氷は少しづつ減ってきてます。海が少しづつ上がってることになります。南極ではいろいろな観測をしています。オーロラ・電波・気象・空気・氷・地震・重力・石・隕石・生物とかいろいろな活動をしています。

南極へは飛行機では行けません。船で行きます。船で行くとき、海が非常に荒れている場所があるんです。’しらせ’という大きな船ですが、40度位の傾きを繰り返して、それが一週間くらい続く海域です。行きと帰り必ず通るんです。そこを通過してさらに南へどんどん進んでいくと氷山が見えてきます。高さで20メートルくらい。だたら海の下には200メートルあるということです。もっともっと南へ行くと海全体が氷になってくる。こうなると’しらせ’のような砕氷船でもなかなか前には進めません。そのときどうするか、進むところまで進んで船をバックします。そしてまた勢いを付けて氷にぶつかります。それを繰り返して、だんだんと前に進んで行きます。これをサージングといいます。そうして昭和基地に着きます。今37人が越冬していろいろな観測をしています。

氷山は海の水が凍ったものではありません。さっき見た南極大陸の厚い氷が、じわじわ流れ動いてきて海に落ちたのが氷山です。
(二種類の氷・南極の氷と冷蔵庫の氷・の違い)

南極の氷に関心を示す
生徒達

違いに気付きましたか。南極の氷に泡、パチパチ音がする等に気付いたようですね。
南極の氷にある、あの泡はいったい何でしょう。空気です。では南極の氷から空気が出て、冷蔵庫の氷から空気は出ないのでしょう。南極の氷は雪が固まった物です。冷蔵庫の氷は水が固まった物です。雪というのは空気が沢山入っているんですね。みんなの前にあるこの氷、10万年前の氷です。
10万年前に降った雪が固まった物です。だから氷の中の空気は10万年前の空気です。この空気を調べると10万年前の地球のことがいろいろ解ってきます。では、どんなことが解るかというと(グラフで説明)、過去の地球の温度は上がったり下がったりしていることが解る。地球の温度は上がったり下がったりしている。二酸化炭素濃度はイギリスの産業革命が起きてから、ずうっと上がっている。地球温暖化の一番の原因は、この二酸化炭素なんです。このまま上がっていくと南極の氷が溶ける、海面が上昇して都市は水に沈む。二酸化炭素は今、大きな影響を地球に与えている。

隕石の話しです。南極にこれだけ多くの氷があったおかげで非常に沢山の隕石を手にすることが出来ました。南極では氷の上に黒い点として隕石が落ちている。どうして隕石と解るか。誰もいないところで誰かがポーンと石を投げる訳がない。表面を見ると少し焦げている。隕石は地球全体に落ちてきているんだけれども、海に落ちたら見つけるなんて不可能です。南極では氷の中に落ちた隕石は長い年月かけて氷と一緒に流れて最後には海に落ちます。だけど、ところどころに在る山のところでは氷の流れがそこだけ止まります。止まった氷は個体から気体になって減ってきます。隕石だけが残るわけです。次から次へと隕石を含んだ氷がその山のところに流れてきて気体になって隕石だけが残るんです。割と狭い所に沢山の隕石を見付けることが出来ます。日本は今、世界一の隕石保有国です。17000個ほど持っています。そしていろんな研究をしています。

5億年前の岩石を直接触れてみる生徒達

石の話しです。南極大陸は97%が氷ですが2~3%岩場です。その石にどんな秘密があるのかを話しましょう。ゴンドワナ大陸って聞いた事ありますか。実は大昔、南半球にある大陸って南極・南アメリカ・オーストラリア。アフリカ・インド、これ全部くっついてました。今から2億年くらい前、それをゴンドワナ大陸と言います。それが分裂を始めて今の配置になったんですね。昭和基地の場所はインド・マダガスカル・スリランカと非常に近かったんです。スリランカの有名な産物は紅茶がありますが他に宝石が有名です。ということは昭和基地にも宝石が有ってもいいよね。探しました。そうしたら有りました。この赤いのルビーです。青いのサファイアです。ダイヤモンドは見付かってないです。ダイヤモンドはアフリカが有名ですよね。氷の下のどこかに有るかもしれませんね。今日、持って来ました昭和基地の石ですが、約5億年前の石です。こっちのはもっと古いです。40億年前。たぶん地球で一番古いかもしれません。こういった古い石が南極には有ります。

5億年前とか40億年前といってもピンとこないでしょ。
地球が出来てから46億年。これを1年に置き換えてみましょう。
46億年前、地球ができました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1月1日元旦
1番古い岩石ができた40億年前・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2月17日
1番古い生物が出現した35億年前・・・・・・・・・・・・・・・・・・3月27日
5億年前は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11月26日
皆さんの良く知っている恐竜の時代、2億5千万年前・・・・12月11日~26日
人類の出現200万年前・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12月31日PM8:12
人類はまだ新しいですね。

この地球というのは長が~い時間のなかで、やっと出来てきたんですね。こういった地球の環境を人類は簡単に今、壊しています。地球は上空30km~40kmくらいの薄いオゾン層に囲まれています。南極の上空にポッカリ、オゾン層の無い所があります。これをオゾンホールといいます。オゾン層は非常に大切な層なんです。オゾン層が無いと紫外線が宇宙からどんどん入ってくる。紫外線って何に使っていますか。そう殺菌に使います。つまり生命を殺すんです。オゾン層が地球に出来たには6億年前と言われています。結果、海でしか棲めなかった生物が上陸出来ました。人間はわずかこの20~30年の間に壊そうとしてます。オゾン層が無くなったら誰も地上で生活出来ません。海の中へ移る訳にもいきません。人類は生存できなくなるわけです。

(昭和基地について写真を使って説明=講演を終える)

いよいよ南極と衛星回線を使ってのテレビ会議

千葉幹事進行

昭和基地の皆さんとお話しする時間になりました。大きな声で南極昭和基地の隊員の皆さんに向かって挨拶しましょう。
『昭和基地の皆さんこんにちは』
千葉県市原市の京葉小学校でございます。

司会進行の千葉幹事

見るからに精悍な越冬隊長と
美しい女性隊員

はい、こんにちは。南極です。
それでは自己紹介します。
私は江川と申します。第46次では女性の隊員は2名います。私は、その内の1名です。仕事の内容は人工衛星からのデータを感知してます。隣にいるのは渡辺隊長です。

越冬隊長を務めております渡辺です。本日はよろしくお願いします。
現在昭和基地には37名が越冬しています。そろそろ第47次隊が到着しますので受け入れ準備をいろいろ行っております。除雪、夏の間に使う布団を干したりと、そんなこともやってます。こちらは南半球にあるので、日本と季節が逆の夏に差しかかっているところです。時間は日本と6時間違いまして、現在朝の8時15分過ぎです。今日の天気は非常に良いですが、風が15m/s位吹いています。外作業はちょっとやりにくい状況です。ですが、日差しは強くて気温はわりと暖かめです。今日は短い時間ですが、昭和基地の様子、ここで行っている南極観測のことについて少しでも理解を深めていただきたいと思います。
始めに昭和基地の外の様子を見てください。(外の様子を映像で説明) 気温は暖かめでプラス1℃くらい。風が強いことがお解かりいただけると思います。
=その他、映像や実験の模様を通じ丁寧に説明を頂いた。=

南極について質問をする生徒

生徒の質問にスライドを交えて
丁寧に答えてくれる



南極でふだん私たちが見ることができない珍しいことやすごいと思ったことは何ですか。(6年安井詔子)

南極でもオーロラは見ることが出来ますか。(6年加賀谷省吾)

南極基地では、主にどんなことをしていますか。(6年宮沢慧)

南極基地では、どんな道具を使っていますか。(6年黒木萌)

.地球は今いろいろな問題がありますが、南極にも関係するような環境の変化はありますか。(6年高石瞳)

南極の氷が解けて南極大陸は小さくなっていますか。(6年齋藤仁乃)
南極から出されたクイズに
○×で答える生徒

○×クイズ(南極観測隊から生徒に質問)
               生徒全員に○×を掲げてもらう。


.南極にも熊がいますか?
     ここでの回答の際、南極の生物(ペンギン・アザラシ・その他)について解説。

.野外の食事はインスタント物・レトルト物だけである?
     回答として、野外でも自分たちで真空パックしたおかず、鍋もの等が食べられることを紹介する。

南極の氷山の氷はしょっぱい
     ここでの回答では、南極に降った雪が大陸上を移動して氷山となること、南極大陸の氷の厚さなども示す。

お礼を述べる生徒の代表
(こんな体験が人を育てるんですね)



     南極のことがよくわかる
     南極関連ホームページ


     国立極地研究所
     http://www.nipr.ac.jp/japan/

     極域環境資源センター
     http://polaris.isc.nipr.ac.jp/~caem/

     環境省 南極地域の環境保護
     http://www.env.go.jp/earth/nankyoku/kankyohogo/




(この記事は12月14日例会の会報に転載します。)

「ロータリーの友」12月号の注目記事
2005.12.6 雑誌委員会 三平会員
[横組み記事] 
・座談会 もっと家族が参加する機会を  5P
 今月は家族月間で、配偶者から見たロータリーの活性化が話し合われています。 
 ロータリアンが、「ロータリーの友」「ガバナー月信」「週報」を自宅に持ち帰って、
 配偶者に見せることで、ロータリーに対する配偶者の理解がより深まるとの意見は、
 もっともでよく分ります。

・ロータリー・ソングについて   16P
 どうして歌うようになったか、経緯が述べられています。
 [縦組み記事] 
・スポーツに見るリーダーシップ  地区大会記念講演より  2P
 スポーツを題材にしてリーダーシップとはなにかを、理論と実際面からまとめています。
 実例をいろいろ挙げており、なかなか面白い。
・風紋 大成功だった愛知万博ロータリー館 内藤明人氏   7P
 第二七六〇地区の国際博委員会委員長として、ロータリー館の建設・運営のリーダー役をつとめた。
 リンナイ㈱の二代目会長の生き様と仕事振りが語られています。

・ロータリー アットワーク    24P
 名古屋瑞穂ロータリークラブは、二十五周年記念事業でウガンダに、井戸一基と小学校一校を贈ったと のことで、驚きました。
12/6に当クラブの主催で行われました、京葉小学校での「南極教室」の様子を、
このロータリーアットワークに投稿する予定で準備しています。